Diary April, 2009

 

01日Wed.

気がつけば新年度。D2に進級し(多分)、 今年度もKEKの特別共同利用研究員としてQUIETに従事していく。

去年度は色々あった。本格的に実験の分野に飛び込み、みっちり解析するために海外にも行った。 行っただけでなく、併せて約三ヶ月も滞在してしまった。

今年度は予定では、W-band設置直後の五月か六月ごろにチリに行く予定だし、 チリ行きが終わった後に、シカゴに長期滞在し(期間は予算次第だが)W-bandの解析を集中的に行なう予定である。

Q-bandでの具体的な結果が出始め、W-bandでの新しいデータの取得も始まる。 今年度は去年度以上に、エキサイティングな年になる。楽しみだ。


昨日も書いたが、Planckはどうやら本当に打ちあがるらしい。 Podcastやtwitterも更新されており、 「また延期」ということはもはやありえないだろう。 無事打ちあがることを祈っています。

380-FPU-cover-removed_410.jpg

最近気になったplanckの論文:

  • B-mode Detection with an Extended Planck Mission
    • PlanckでB-modeを見るぞ!昨今、PlanckではB-mode見えない、PlanckはForegroundを見る衛星だ、地上実験でまずhigh-lのB-modeが見えて、最終的な決着は10年後位のCMBPol衛星だよね、なんていわれているが、Planckだってがんばれば、upper limit r<0.03まで行くんだぞ!
  • Component separation methods for the Planck mission
    • QUIETに参加するようになってから、component separationについてなかなか終えていない。この論文は打ち上げを目前にし、component separationの現状をまとめている。

Old view
Theory prior = delta function of THE correct one and only theory
New view
Theory prior = probability distribution on an energy landscape whose features are at best only glimpsed, huge number of potential minima, inflation the late stage flow in the low energy structure toward these minima. Critical role of collective coordinates in the low energy landscape.

05日Sun.

(同じようなことを何度も書いている気がするが・・・、覚書ということで。)

パラメータ推定の際には、(1-3)-sigma errorを見ることが多い。 errorの幅は、chisq minimumとなる点からのΔchisqから見積もることができる:

DeltaChisq.jpg

この様にすればパラメータ推定は、chisq minimumの計算が出来ればいくらでも可能である、 その推定に使われたモデルがresonableか否かにかかわらず。

ではモデルがresonableかどうかの判断は、いったいどのようにするのか? それは有意確率で判断する。有意確率はp-valueとも呼ばれる。 p-valueは以下で定義される:

p = \int_{\chi^2}^{\infty} f_\nu(z) dz

ここで、f_\nu(z)は自由度\nuのchisq distributionである。

この定義からp-valueは、もし実験結果が期待通りの分布(モデル)に従っていれば、 100p %の確率でchisq以上となる、という意味である。

この確率が充分ありうるものであれば、 仮定したモデルを棄却する根拠が無いことになる。 そうでない場合、仮定したモデルは棄却される。

ではありうるというのは、何パーセントに設定するのが適切であろうか? これについては明確な決まりは無く、習慣的に、5%1%に設定するのが一般的である。

上で考えたのはありえる確率の下限である。 では上限はいくつであろうか? これも、p-valueの意味を考えれば理解できる。 p-valueが100p%であった場合、そのときのchisqより良くなる(=小さくなる)確率は100(1-p)%、つまり100回に100p回ありうるということだ。 ここでも基準となるありうる確率が必要である。 (此方の基準はあまり明白にされていない気がするが、我々が考えているようなデータ解析については)、 先と同じように5%1%に設定するのが尤もらしいと考えられる。


よく、フィッティングの良し悪しを議論するとき、p-valueではなくchisq minimumを自由度で割った、 reduced chisqが用いられる。 上記を参考にreduced-chisqのありうる範囲を考えると、 下限はorder 0.1,程度、上限はorder 1程度であることが分かる:

pValue.png

但し、当然だが同じreduced-chisqでも自由度が変わればp-valueが変わる。 よって、より正確に議論をするためには、reduced-chisqでは無く、p-valueを計算するべきである。


遺伝学の重要な法則にメンデルの法則というものがある。 その中に「分離の法則」と呼ばれるものがあるが、彼が使ったデータを上記にしたがって解析すると、 p-valueが異様に大きくなることがフィッシャーにより指摘されている。 つまりメンデルのデータは、(彼の研究補佐員によって)捏造されていた疑いがある。


06日Mon.

Focus week on non-Gaussianities in the skyに参加。 色々と都合があって、初日と最終日だけの参加になりそう。


なんてこった:

Clover
cloverはイギリスの大学を中心としたB-mode測定実験。予算が既についており、ものも結構出来ていた。前々回シカゴに行ったときに、来年ぐらいからデータをとるとか言っていた。それがキャンセルになった

07日Tue.

ビザのお勉強


  • 移民ビザ
    • これからアメリカに移り住む人たちのビザ。
  • 非移民ビザ
    • 移り住むのではなく、一時的にアメリカに滞在する人たちのビザ。 出国することが前提。移り住むことが目的ではないのにアメリカに滞在するということは、 何らかの具体的な目的があってアメリカに滞在することを意味する。
      • 外交(A)
      • 短期商用(B-1)
      • 短期観光(B-2)
      • 通過(C)
      • 乗務員(D)
      • 商用駐在員・貿易家(E-1)
      • 商用駐在員・投資家(E-2)
      • 学生(F-1)
      • 国際機関関係者(G)
      • 短期就労者・専門職(H-1B)
      • 短期就労者(H-2B)
      • 研修(H-3)
      • 報道関係者(I)
      • 交流訪問者(J-1)
      • 婚約者(K)
      • 系列企業内転勤・管理職(L-1A)
      • 系列企業内転勤・専門職(L-1B)
      • 専門学校生(M-1)
      • 特別移民関係者(N)
      • 卓越能力(O-1)
      • 運動競技者・芸能家(P)
      • 認定プログラム参加者(Q)
      • 宗教活動家(R)
      • 奴隷貿易被害者(T)
  • ビザ免除プログラム(Visa Waiver Program: VWP)
    • 日本国籍の方が短期の商用や観光の目的で渡米する場合、有効なパスポート、往復または次の目的地までの航空券・乗船券を所持し米国での滞在が90日以下であればビザは必要ありません。観光や商用で渡米する旅行者がこのプログラムを利用する場合は、90日を超えて滞在期間を延長することや滞在資格を変更することはできません。

  • B-1 短期商用ビザ
    • 米国を源泉とする給与、またはその他の報酬の受領を伴わない商用を目的として渡米予定の渡航者は商用ビザを申請できます。ビザのタイプは「B-1」です。
    • 多くの日本人渡航者の場合、90日以下の旅行であればビザは必要ありません ⇒ ビザ免除プログラム
    • 商用ビザは、販売、ボランティア(奉仕活動)、修理技術者、講演者・講師、会議出席、研究者、投機的事業、医学研修、在宅勤務に該当します。
      • 研究者:個人で研究することが目的で、米国を源泉とする報酬を受けず研究結果が米国機関の利益にならない場合はB-1ビザが該当します。米国から報酬を受ける場合や米国機関にとって研究結果が有益な場合は交流訪問者(J-1)ビザや一時就労(H-1)ビザが必要です。
    • ビザの有効期限と米国での滞在期間は異なります。ビザは、発給されたビザで渡米し入国審査を受けることができる期間を指します。米国に滞在できる期間ではありません。米国での滞在期間は入国地の移民審査官が判断します。一般的に、移民審査官は各人の渡米目的に応じて適正な滞在期間を許可します。
    • 商用(ビジネス)目的でアメリカに入国する際には、その目的に必要な滞在期間分(通常は半年以内、特殊な事情がある場合には最長で1年間まで)の滞在期間が与えられます。
    • 米国内での滞在可能期間を決めているのは、ビザではなくてI-94。

  • I-94出入国記録カードについて
    • 有効なビザを持って渡米する外国人訪問者はI-94に、またビザ免除プログラムによりビザなしで渡米する外国人訪問者はI-94Wに記入します。
    • 訪問者が米国を出国する際に、利用航空会社・船会社の職員が、通常はチェックインカウンターで、パスポートからI-94またはI-94Wを切り離しますが、時折、パスポートに貼付されたままのことがあります。 この場合には、旅客の米国からの出国が米移民局に登録されません。
    • 出国が登録されていないと、次回米国への入国を申請する際に、ビザが取り消されたり、米国への入国を拒否されたりする可能性があります。 特に、ビザ免除プログラムによる訪問者が許可された期間を超えて米国に滞在すると、その後はビザの取得なしに米国に再入国することは許されません。 この様な状況の中で、ビザ免除プログラムによりビザを持たずに米国の入国地に到着した場合には、米国移民審査官が米国への入国を拒否する可能性があります。 訪問者は、米国を出る前に、半券を利用航空会社・船会社に渡すことを忘れてはいけません。

  • J-1 交流訪問者ビザ
  • 教育機関やその他非営利機関公認のプログラムに参加する目的で渡米する場合は、交流訪問者 (J-1)ビザが該当します。 これらのプログラムには、大学院生、レジデントまたはインターンとして渡米する医学生、客員教授として大学から招聘される学者、そして企業の研修生の一部が含まれます。
  • 重要事項(2年間居住規定):以下の条件の1つ、あるいは複数の条件が当てはまる場合には、交流訪問者プログラム終了後、自国または渡米前に居住していた国に、少なくとも2年間居住しなければ移民ビザ、婚約者Kビザ、 短期就労Hビザまたは 企業内転勤者Lビザが発給されないことがあります。
    • 米国政府またはあなたの国籍の国の政府またはあなたが渡米前に居住していた国の政府の出資によるプログラムの場合。
    • あなたが交流訪問者プログラム参加中に携わった専門知識・技能が必要とされる分野において人的サービスが必要であるとして国務長官によって指定されている国民または指定国の居住者の場合日本国籍の方は該当しません)。
    • 医学や研修を受けるために米国に入国した医師の場合(専門の教育研究機関または医師の協議会が関係するプログラムを除く)。

  • F-1 学生ビザ
    • 大学・高校・語学学校などの学術機関で学ぶ場合には、F-1(学生)ビザを申請します。専門学校その他の非学術機関で学ぶ場合には、M-1 (専門学生)ビザを申請します。B-2 (観光)ビザや、ビザ免除プログラムでフルタイムで就学することはできません。


19日Sun.

ビザというものが、ここまで面倒だなんて知らなかった。 グローバル化(今やいちいちこんなことは言わないか)した現代において、出入国がここまで面倒だとは。

自国に、変な人を入れたくないのは当然である。 なので、入国する際にきちんと審査する。当然である。

犯罪者や公共の福祉を著しく犯す人間はどこの国にとっても害である。 こういった人間を入国させないのは至極当然である。 一方で、これ以外に仕事・居住についての厳しく審査されるということについては、 意識していなかった。つまり、その国に住むのか、その国で仕事をするのかということである。 その国に住む・仕事するということは、その国のインフラを使用したり、 その国の労働力を担う(逆に言えば、他国の人間が奪うこと)い賃金を得るという意味である。

短期の観光であれば問題無い。 行って帰ってくるだけである。 住む・仕事するとはかけ離れており、 またその際外貨を落としていくので、入国先の国にとっては利益もある。 短期の商用も然りだ。

ではそれ以外は。 それ以外の目的で入国する目的は、 例えば留学だったり、海外ポスドク(短期間の雇用)だったりである。 これらは住む・仕事することとは不可分である。 このとき、留学先の学校、留学期間、雇用主、雇用期間、居住地、そして財力をはっきりしておかなければならない。 途中でばっくれてしまった場合、好ましくない人間を増やす結果になるからだ。

つまり、こういったことが審査されるわけだ。 入国審査官は、入国者をいじめているのではない。

ビザなし短期滞在であれば、

  • 滞在先
  • 滞在期間
  • 帰りのチケット

これらが明らかであれば、問題無い。

これ以外、つまり居住・労働にかかわることが含まれる場合、 その審査は面倒なものになるのだ。


過去三回のシカゴ訪問について考えてみると、 結構危ない橋を渡っていたのではないだろうか?

「シカゴ大学で研究する」という入国目的は、ビザなし入国の適応範囲を超えている恐れがある。 「研究する」というのが引っかかる。 半年の間に3度も入国した、というのも怪しい。 短期間に出入国を繰り返していると、入国先に居住し、仕事をしているのではないかと疑われる恐れがある。 この様な入国の仕方は、ビザなしプログラムの目的範囲内では不自然である。

この様にわれていたのではないだろうか。

自分はそんなこと露知らず、受け答えをしていた。

今年もシカゴには行くつもりである。 その際は万全の体制で望む所存である(ビザをとるとらないを含めて)。


23日Thu.

大型研究費関連も昨日で終わり。真ん中頃と最後の最後で、飛び火しました。 結果は何時でしょうか?


VISAまとめ
海外ポスドクの可能性があるのならば、J1はお勧めしない。どうにかビザ免除でシカゴへ。

くわしくは分からないが(というか公開されている情報はあるのか?在日中米大使館の頁には無いような。有料で問い合わせろと)、 two-year ruleがやはりネック。こいつは2つで構成されていて

  1. two year rule
    • 2年間(少なくともJ1は)ビザがとれなくなる(長期・短期関係ない)。
  2. tow year bar
    • 長期滞在ビザがとれない(J1 short termとかは可?)。

(1)はwaiverできる。8ケ月かかるらしい。(2)はwaiver出来ない。

つまり、Dの間に「海外に長期滞在して、研究をしたい」と単純に考えて、 (Dの間の研究を目的に)Jビザをとってしまうと、D取得後直ぐには海外ポスドクが出来なくなってしまう。 D取得後、シカゴに滞在し続け延長を申請することもできるが、ポスドクをシカゴでやる確証は無い。 なので延期を見越してJをとるのは危ない。

  • ビザの事で聞きたい事があるなら、メールしてください。たいていの事は答えられると思うよ。 -- A 2009-04-24 (金) 04:28:23
  • 以上、コマツでした。 -- コマツ 2009-04-24 (金) 04:29:37

添付ファイル: fileDeltaChisq.jpg 587件 [詳細]