Diary June, 2009

 

[シカゴ滞在4日目] 30日Tue.

今日でcollaboration meetingは終了である。 Quick summaryに始まり、Foregroundの話が順調に始まるかと思いきや、話はそれまくり。 summaryじゃない。 そもそも研究計画の全てが関連しているので、別々に議論することはできないもの。

  • 周波数バンド
  • Foregroundの差し引き
  • 達成すべき精度は
  • そのためには更なる開発が必要なのか
  • そのときとそうでない場合のお金は

この辺を行ったりきたり。

受信機、望遠鏡、クラオスタット等は技術的な要請やわりと明確なパラメータ、例えば 「この精度でT/Sを測りたかったら、これぐらいの検出器を開発する必要がある」がある。 一方Foregroundについては「この精度で測定したかったら、何周波数(でband widthはどのくらいで、間隔はどれくらいで)で測定し、 何々の方法で差し引き(ノイズの見積もり)をすればよい」というのが見当たらない。 大まかには皆理解しているが、「確証」のようなものが無い、そんな感じ。 そしてForegroundの扱いは最終的に検出器をはじめ全てのことに関係している。

当然QUIETについてもこれは当てはまる。でもphase-Iではさほど問題にならない。

しかしphase-IIでは、だ。


議論の最中に何度か特徴的な場面があった。 QUIETには、KEKがそうであるようにHEP(高エネルギー物理学)を専門としている機関が参加している。 シカゴ大、フェルミラボも当然HEPである。

データをどの段階で見せるのか、null testをどこまでやるのか、 (Monte Carlo)シミュレーションをどこまでやるのかといった議論があると、 「HEPでは」「天文では」「いやWMAPの場合は」といった言葉が飛び交っていた。 結局このあたりの議論は上手く収束していないように思えた(PI only meetingでは何らかの結論を得られているとは思うが。)


時間がかかりすぎた議論を一旦中断した後に、写真撮影・昼飯を挟んでPI and posdoc meetingが開始。 当然院生は締め出される。院生は隣の部屋に待機し、思い思いの作業を始める。 そんな中、「お前の解析に質問がある」、「どうやって解析しているんだ」、 「これを教えてくれ」「どんなツールを使っているんだ」とか至極全うな話があったかと思うと、 「Dは何時とるんだ」「何年かけてとるんだ」「その後どうするんだ」等々雑談も進む。 D7とかD6とか日本人の私にとっては不吉な単語が飛び交う。

議論・雑談には半分も参加できなかったが、こういった機会があると「英語堪能になってやる!」という反骨心が芽生えてくるものである。 やはり英語は必要だし、使えると楽しいはずだ。 頭では分かっているが、こういう機会がないと体は分かってくれない。


PI and Posdoc meeting終了後、PI only meetingが始まった。 我々には関係なので、来る時よりも多い4人で帰路につく。

目的地を間違ったり(依然として言語の壁は厚い)、 右折していいのか悪いのか(イリノイでは交差線の右折は、 左から車が来なければ信号が赤でも進んでいい、 でも例外があるような気もする)、 ダウンタウンは都心以上に込み入っていたりレンタカー返却所がしまっていたりと色々あったが、 どうにか今回の出張第二の宿泊地i-houseに到着。

i_house.png

五ヶ月ぶりだろうか。考えてみれば、i-houseは実家、仙台、つくばの次に長い期間生活していることになるのか。 感慨深い。その甲斐(?)もあってかcheckinの際には「あんたはずいぶんとここを利用しているね」「諸所の説明は要らないよね」なんか言われたりもした。


明日からはCMBPol研究会である。 あすには自分の結果の一部が載っているQUIETのトークもある。 気持ちを新たに臨むつもりである。

  • 良い経験してるね、ほんとに。foregroundに関しては、僕もlitebirdのため四苦八苦してるので人ごととは思えんです。とりあえず次のlite teleconまでには結果を出せるようにしないと。。 -- コマツ 2009-07-03 (金) 01:12:35

[シカゴ滞在3日目] 29日Mon.

08:30からミーティング開始。 今日はサイエンス面以外で色々と思うことがあった。

inside.jpg

具体的に何かがあったわけではないが、凹む。

outside.jpg

  • 象牙の塔デビューですね。お疲れさんです。 -- コマツ 2009-07-01 (水) 02:04:27
  • 緊張しまくりでしが、どうにかミーティングを乗り越えることができました! -- チノネ 2009-07-01 (水) 10:44:00

[シカゴ滞在2日目] 28日Sun.

昨日は結局明け方の四時まで起きていた。

出発前にボスに一度リハーサルに付き合ってもらったが、どうにかなりそうだ。

そしていよいよFermilabにのりこむ。 ここはアメリカの政府施設で、それも放射線を扱うことがある場所ではありますが、 警備は極めてゆるい。パスポートを見せて、「Wilson Hallに行くんだ」といったら、何事もなく通してくれた。 そもそもゲートのようなものがなかった。 原子力発電所のように分かりやすく、ヤバイ施設と違ってテロリストも犯罪者も何をやっているのかよく分からない施設は、 狙わないのだろうか?

Fermilabの中はとにかく広い。 KEKも日本の施設にしては広い方だが、やはり比にならない。湿地・草原が地平線まで続いている:

sou.jpg

そんな中ひときわ目立つのがWilson Hall

wilson.jpg

ここでミーティングが行なわれ、そして今日は自分の発表がある。緊張する。

ミーティングルームに着くと自分達は遅い方で、 半分以上のメンバーが既にいた。といっても誰が誰だかわからないが。 何はともあれボスのBruceに挨拶。 あの人は〇〇かな?と思いながら、ミーティング開始を迎えた。 案外予想はあたるもの。大学院生の予想は外れた。Dなのに貫禄ありすぎ。

結論から言うと、自分の15+15分(ぐらいしゃべったか?)のtalkは何とか成功した。 「talkを英語で暗唱」と最初は思っていたが、 結局そんなことはできなかったし、そんな必要もなかった。 不思議な感覚だが、考えながら(流石に全てを英語で思考とまではいかないが)talkすることが出来た。 質疑応答には課題は残るものの、個人的には「自分良くがんばった」と思う。

今日の議題はQ-band解析の現状報告である。 殆どは生のデータに近い解析。前半・中盤は「1 mVの出力がX mKである。」「偏光の角度はX度の精度で観測されている。時間変化もしない」 「観測装置の温度が結果に影響を与えているか?」といった類のもの。 後半は「ではそれらのデータを使ったmap、それから得られるpower spectrumはどうなっているか」といったもの。

自分は前・中盤にコントリビュートしているが、個人的には後半の方が本業だと思っている。 でもQUIETでは手を出せていない。D論を意識し始めた今日この頃ではあるが、 自分もpower spectrum書きたいな、と思ったミーティング初日であった。

スケジューリングに問題があり(summary talkだからといって、1人10分いかは短すぎ。やはり2時間近くオーバーした)、 帰ったのは2000頃:

2000.jpg

・・・明るい。


[シカゴ滞在1日目] 27日Sat.

nwa.jpg

*写真はイメージ。

いつの間にか、シカゴ出張。機内でジュースをやばい箇所にかけられたりもしたけど、無事にFermilab周辺に到着。 懸案の入国審査は、何時になく事務的なものだった(「何しにきた?」「会議参加」「どれくらいの期間いるのか?」「一週間」終わり)。 今回はH谷川さんが同伴なので、座席はeconomy plus(このplusは大きい)、 seatingは1、荷物もpriorityとリッチになった気分

Fermilabといったら、素粒子実験のメッカですよメッカ。(昨今はCERNに移ってしまった感があるが。) ツアーがあるといったが、是非参加で。

宿は寮とかないので一般客向けのホテルに泊まることに(会った事のないメンバーが、互いを認識せずに、この壁越しいたりするんだろうな・・・):

comfort.jpg

Fermilab特価で一泊$74.00(tax 9%)です。 (ベットが二つあるからといって相部屋ではないです、念のために)

今回の出張の目的は、 仲間内のmeetingに参加することと、 その後のこれに参加すること。 シカゴの面子がチリでデプロイメント中で若干足りないが、 QUIETのメンバー一堂に会し色々議論した後に、 折角だから今後のCMB polarization(衛星)の研究会にも参加しようというのが目的。

明日は自分の分のtalkとT島氏から依頼された代理talkがある。 代理talkもそうだが、英語でtalkするのがそもそも始めてである。 (仲間内というのがせめてもの救い。) 時差ぼけと緊張のせいで、今夜は眠れるのだろうか?(28日01:20)


20日Sat.

KEKのねこその2

cat2.jpg

14日Sun.

  • 月周回衛星「かぐや(SELENE)」の制御落下結果について
  • かぐや姫、月に帰る(四国新聞) 引用:
    かぐや姫が月に帰った。ハイビジョン映像で月のクレーターを紹介したり、
    14種類の観測機器で月の秘密に迫ったりしてきた月周回衛星「かぐや」が、任務を終えて月面に落とされた。
    宇宙航空研究開発機構によると、月に落とした最大の理由は燃料だ。
    かぐやは自然に円軌道を描いて飛んでいたわけではない。月に衝突しないよう、
    常に軌道修正が加えられていた。その燃料が尽きた。
    そのまま落とすだけではもったいない。月の表側に落とせば、衝突の瞬間が観測できるかもしれない。
    狙ったところに落とす技術は、今後、月面着陸機を製作した時に生かせるだろう。
    そんな思惑もあったようだ。そうしてかぐやは大破した。
    ただ、少々気になった人もいるのではないか。月にごみを捨てたことにならないのかと。
    「月全体からすると問題になる程度ではない」(同機構)というが、人工衛星の残骸(ざんがい)である宇宙ごみも、
    エベレストに残されたごみも、最初はそう思われていた。
    捨てずに大気圏に突入させて燃やす方法もあるが、月からでは大量の燃料を要してしまう。
    その分、観測機器が積めなくなる。だから仕方がないと言われれば仕方がないのだが、
    後世の人類が月で暮らすようになった時どう感じるか、心配する気持ちは分かる。
    もっとも、そんな時代を迎える前に人類が滅亡する恐れもなくはない。
    そうなった時、かぐやの残骸は地球文明を伝える貴重な遺跡となるのだろう。
    宇宙人がそこから何を読み取るか、興味深い。

12日Fri.

今日は下記のセミナーを聞いてきた:

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
題名:
 Neutrino-less Double Beta Decay の現状と将来
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

講演者:
 井上邦雄氏 (東北大学ニュートリノ科学センター長)

Language:Japanese
使用言語:日本語

日時:
 6月12日(金)17:00
場所:
 4号館1階セミナーホール

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
要旨:
 ニュートリノ振動観測によってニュートリノの質量2乗差は測定されたが、
 その絶対値や階層性はまだ決定していない。また、ニュートリノのマヨラナ性の
 検証は1930年台からの長年の課題である。
 ニュートリノレス二重β崩壊の探索はニュートリノのマヨラナ性を検証できる
 現在唯一の手法であるとともに、ニュートリノ質量絶対値の情報を与える。
 ニュートリノのマヨラナ性の検証は、ニュートリノの突出して軽い質量や宇宙の
 物質優勢といった標準理論のほころびに説明を与えることもできる。
 縮退構造や逆階層構造といった具体的な探索目標が設定できるようになった現在は、
 段階的な目標達成を目指して複数の大型プロジェクトがしのぎを削っている。
 ニュートリノ観測装置カムランドは、大型装置で極低放射能環境を実現しており、
 液体シンチレータに可溶のキセノン136を大量導入することで、迅速かつ低コスト
 で世界最先端の感度を実現できる。この研究計画と将来の展望を解説する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ニュートリノの絶対質量測定の話は初めてだったので、とても面白かった。 講演者の井上先生は、学部の頃授業を受けたことがあり、 その授業で授業とまったく関係ない、ニュートリノ振動のこと話してくださったことが記憶に残っている。 また「root」を始めて私に教えてくれたのも、井上先生である。 もう5年以上も前のことなのか・・・。


08日Mon.

Measurement of CMB Polarization Power Spectra from Two Years of BICEP Data

The tensor-to-scalar ratio derived from the B-mode spectrum is r = 0.03+0.31-0.27, or r < 0.73 at 95% confidence,
the first meaningful constraint on the inflationary gravitational wave background to come directly from CMB B-mode polarization.
The improvement in the power of BB to constrain r is illustrated
by repeating the above analysis using WMAP BB data,
where we obtain a limit of r < 6, versus the BICEP constraint
of r < 0:73.
bicep.png
bicepcl.png

04日Thu.

Hubblecast 25 Special: What's Next? (是非ともHD画質で。)

欧米人は本当にこういった広報活動(アウトリーチ)が上手い(し、普通に面白い)。 力の入れ方が日本のそれとはまるで違う。

日本でもアウトリーチ・広報活動は一応やっている。 でもそれらの多くは科学者の自発的な努力にゆだねられている感がある。 でも科学者がいくらがんばったって、上の映像は作れないわけで。 (予算としても、欧米は広報用に予算がつくとか聞いたが本当だろうか?)


02日Tue.

ポスドクの半分は海外にいる。

全ての研究を一カ国だけで網羅できるわけもなく、 その研究をやっているのが海外であれば、海外にポスドクとしていくことになんら問題はない気がする。 問題はそこではない。

ポスドク問題は色々といわれているが、今まさに博士課程(からポスドク)にいる人間として言わせてもらうと、

10年前の政策の失敗を、今の若者に一体どうしろと?

が真理だ、が、こればかりはどうしようもないか・・・。

歩簾奴苦【ぽすどく】

自分の足で歩み始めたばかりの若者の一部を指す名称。
しかしこれまで歩んできた場は社会の荒波から逃れた御簾の内でしかなく、
一般社会への復帰は困難といわれている。御簾の内においての勤務体制はほとんどが
裁量労働制のため12時間・24時間勤務もざらであり、奴隷的な扱いを受けることあり、
多くの該当者が苦しんでいる。

  −−−民明書房「1万人計画の残滓」−−−

03日Wed.


01日Mon.

KEKのねこその1:

DSC00594.png

Dark-energy particle spotted?


添付ファイル: filei_house.png 490件 [詳細] fileinside.jpg 496件 [詳細] fileoutside.jpg 497件 [詳細] filewilson.jpg 490件 [詳細] filesou.jpg 514件 [詳細] file2000.jpg 487件 [詳細] filenwa.jpg 489件 [詳細] filecomfort.jpg 498件 [詳細] filecat2.jpg 495件 [詳細] filebicepcl.png 496件 [詳細] filebicep.png 505件 [詳細] fileDSC00594.png 526件 [詳細] filedaily.png 289件 [詳細]