Diary October, 2009

pictures: 5th stay @ Chicago


 

[シカゴ滞在07日目] 25日Sun.

#1

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(別にシカゴの猫というわけではない)

日本を出発する前(そもそもチリ滞在の頃から)から、日記を書く頻度が落ちている。 初心に帰ってきちんと書いてみる。

#2

今週あったセミナー:

  • 21 October 2009
    • Refreshments served at 3:15 pm, 3:30 pm, KPTC 106
    • Kip Thorne, California Institute of Technology
    • Gravitational Waves: A New Window onto the Universe
    • Over the next decade or so, the gravitational-wave window onto the Universe will be opened in four frequency bands that span 22 orders of magnitude: The high-frequency band, 10 to 10,000 Hz (ground-based interferometers such as LIGO), the low-frequency band, 10^-5 to 0.1 Hz (the space-based interferometer LISA), the very-low-frequency band, 10^-9 to 10^-7 Hz (pulsar timing arrays), and the extremely-low-frequency band, 10^-18 to 10^-16 Hz (polarization of the cosmic microwave background). This lecture will describe these four bands, the detectors that are being developed to explore them, and what we are likely to learn about black holes, neutron stars, white dwarfs and early-universe exotica from these detectors' observations. [I will focus largely on LIGO and LISA but, unless you advise otherwise, I think it useful to include PTAs and CMB polarization as well.]
    • http://cfcp.uchicago.edu/seminars/index.html#astro_197

一般相対論で有名なあのKip Thorne。 学部時代「一般相対論マスターするぜ」と意気込んでいた頃に、 かといって(学部1,2年で)いきなり難しいテキストを読むのは無理なので、 この人の一般書「ブラックホールと時空の歪み―アインシュタインのとんでもない遺産」を読んで、 自らを鼓舞したりしたものだ。 今でも一般相対論マスターには程遠いが、曲がりなりにも一般相対論の延長線上にある宇宙論の研究をし、 アメリカの地に赴き、そして氏の講演を聴くことになるなんて、感慨深い。

講演の内容は「重力波」観測について。 CMB偏光B-mode観測によって、背景重力波を「間接」的に捕らえようとしている私にとっては、 いつ頃「直接」観測の目処がつくのかが気になるところ。 講演によれば2030年頃には可能とのこと。二十年・・・。 テクノロジーに関しては楽観的な見積もりだと思われるので、+10年、20年はかかったりして。

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  • 23 October 2009, 12:00 pm, LASR Conference Room
    • Jens Chluba, CITA
    • Signals from the Cosmological Recombination Epoch
    • Very soon the Planck Surveyor will start observing the CMB temperature and polarization anisotropies with unprecedented precision. For the analysis of these data sets it will be very important to understand the ionization history of the Universe at redshift z~1100 with very high accuracy, since otherwise uncertainties in the modelling of the recombination process may lead to significant biases in the deduced values of some cosmological parameters. In addition to the simple fact that electrons are captured by protons and helium ions also some photons are released during the cosmological recombination process, leading to small distortions in the CMB blackbody spectrum which should still be present today. This recombination radiation carries valuable information about the dynamics of recombination and the underlying cosmological parameters, which until now has not been accessed. In my talk I will review some of the recent computations in connection with the ionization history of the Universe and the CMB power spectra, showing that neglecting details in the physics of recombination will lead to important biases in the values of n_s and Omega_b. Furthermore, I will try to show that one could learn a lot about cosmological parameter, details in the recombination dynamics, energy release at high redshift and possible dark matter annihilations during recombination by directly measuring the cosmological recombination radiation.

宇宙の再結合過程の話。 水素・ヘリウムが電子をトラップする過程を詳細に計算することで、 再結合の物理をより詳しく調べたり、Blackbodyからのずれを調べたり、宇宙論パラメータ推定の精度(バイアスを除去)を上げたりする、という話。

再結合はそんなに単純ではない。Saha->Boltzman->atomic physicsだ。 Dodelsonの練習問題にもあったように、再結合の際、 電子がいきなりground stateにトラップされることはない (これが起こると、その際の放射により直ぐに再電離が起こる。)。 そこで考え得るすべてのエネルギー順位間の遷移を考慮し、スペクトラムのblackbodyからのずれを求めた。 これを観測できないか?観測できれば、再結合過程の詳細なdynamicsを追うことが可能となる。

今のCMB観測は、周波数解像度は特に気にせず(band widthは当然考慮するが)、 強度と空間成分の観測に特化している。 上記の場合、周波数分解能に特化した観測が必要。

講演者の話しぶりから判断して、理論家、それも天文ではなく、 原子核物理を専門している方に感じられた。

観測は難しそう。

#3

実は最近、私もnon-gaussianityをやるようになった。




CMB「の」non-gaussianityではないが。

何かというと、(filterをかけた後の)観測データの(noiseの)gaussianityのチェックを行っている。 以前述べたように、CMBの観測データは(殆ど)ノイズである。 それも単なるwhiteではなく、長周期に相関があるような1/f noiseが含まれる:

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解析では、先ず始めにこの1/f noiseを取り除く。 具体的には、

  • TOD(time-order date; time domain)をFFTし、frequency domainなデータを作る。
  • frequency domainなデータをspectrum density(の平方根)で割ることで、低周波成分を(=1/f noise)を落とす。
  • この結果をIFFTすることで、1/f noiseが取り除かれたTODを得ることが出来る。

この「high pass filter」後のデータを使い(更にいくつかのcutが行われる)、 CMB解析は進む。MC simulation等も同じような仮定・過程で行われる。

ここで一つ疑問がある:このcleand TODは本当にgaussianか?

解析は、「noiseは(whiteで)gaussianである(witeであることとgaussianであることは同値ではない)」という強力な仮定の元で進められる。 もしこの仮定が破れているにもかかわらず、それを無視して解析を行った場合、 その解析で得られた結果は何らかの誤り(ノイズの過小評価、biasing, etc.)を含んでいる可能性が強い。

cleaned TODは果たしてgaussianなのか。その分布は歪んでいないのか、outlierは存在するのか、 そしてそれらによるノイズレベル・sensitivityへの影響はどれほどなのか? (sensitivityはwhite noise levelは

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によるfittingによって推定されている。この際gausianityは関係ない。)

non-gausianなデータはどうやってカットするのか、そのときのcriterionは如何ほどなのか。


Gaussianかどうかを判断する最も簡単な方法は、1-point distributionを書いてみることだ。 そして、尖度(kurtosis)・歪度(skewness)から、gaussianからのずれを見積もることが出来る。

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Gaussianかどうかを統計的に確かめるためには、Kolmogorov Smirnov test (K-S test: 二つの分布が等しいかどうかを検定するもっとも一般的な検定。 必ずしもガウス分布には特化していない)や D'Agostino's K-squared test (正規分布に特化した検定。尖度・歪度を使い検定を行う)等の利用が考えられる。 3-point functionもありかもしれない(でもそこまで複雑にする必要もない気がする)。

現在は一先ず手を動かしつつ、データを見ているところである。

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この例の場合は、きれいなgaussian(これはsimulation data)。

#4

シカゴの紅葉もなかなかのもの:

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「HUMANITIES DAY」って何だ?

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去年に比べて今年は多くのリスを見かける:

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この写真に10匹近く写っている。


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変わらぬi-houseとその周辺:

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部屋の窓から海、もといミシガン湖を臨む:

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Beef broccoliはでかすぎる(でも無問題):

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普通の餃子ライスだ:

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フルーツ盛り合わせ。ここで例のぶどうに再会。やはり良い:

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Fried rice=炒飯:

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My room Prof. O.T.'s office:

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以前はParker instabilityで有名なProf. Parker's officeだったとか。

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[シカゴ滞在02日目] 20日Tue.

朝一でミーティング。 シカゴのメンバーとの挨拶(「I'm back」)が終わる前にミーティング開始。 いよいよ本格的にCMB解析に参加する。


[シカゴ滞在01日目] 19日Mon.

準備らしい準備もせずにシカゴ出発の朝を迎える。 そういえばKEKの自転車が行方不明のままだ。帰ってきたら探さねば。

近頃少し話題の成田空港にいつも通りに到着。 個人的には成田空港に国際線が集中している現状に満足している。 西日本、東北・北海道に住んでいたら状況も違うのだと思うが。 海外出張の際に国内の煩わしさは出来るだけ避けたいところ。そういう意味でつくば・成田の位置関係は好ましい。バス一本で寝てれば着く。

だが正直、国際線のハブ空港を名乗るには成田は心もとないない。世界のハブ空港に比べれば圧倒的に狭い。 土地買収問題で滑走路が作れないとか、(いろいろな意味で)ふざけんなって感じ。


空港では最後の日本食として回転寿司を弐千円ほど食べる。 予想外。いつもはコンビニのパック寿司で満足していたのに・・・。

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ずらりと並んだUnited Airline機に搭乗。 今回からは単独にも拘らずseatingが1(が道草を食っていたら、それを活用することが出来なかったが)。 何故ならばスターアライアンス・シルバーメンバーになったから。 UAのマイレージメンバーであれば、さらにeconomy plusにアサインされるはずだが、残念自分はANAのマイレージメンバー。 これには別の思惑があるわけで。

ゴールド会員になってラウンジに入れるようになるには、 一年中飛行機に乗っていなければならないのか・・・。自分はまだ遠い。 いつになったら自分単独でラウンジに入れるようになるのだろうか。 前(々)回のシカゴ滞在の帰り際にラウンジで食べた、 粒を持たずに房を持って皮ごと食べられる、 パリッとした触感が心地よいあのぶどうが忘れられない・・・。


飛行機は問題なくO'hare空港に到着。 やはりO'hareはでかい。世界に名だたるハブ空港というだけはある。

前回のチリ出張で多くの乗り継ぎをこなしたせいか、 乗り継ぎの無い今回のフライトはとても短く感じられた。 飛行機一本で目的地についてしまう快適さ。

空港からi-houseへはいつも通りに

  1. Blue-line
  2. (少し)徒歩
  3. 6 Jackson Park Express

で向かう。バスを降りてからi-houseまでは5分ほど歩くが、 実は一ヶ月ほど前に、ここで白昼堂々少年らによる強盗があった。 少年らは逮捕されたが、今回ここを通った際に警察官がいた。やはり警戒しているのか。


i-house到着。支払いの際にCredit cardに問題があり時間を食う。 自分も逞しくなったもんだ、この辺の交渉ができるようになったのは(実のところ、言われたことは半分ぐらいしか理解出来ていないのだが)。

これから二ヶ月間、ここが我が家です:

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以前と変わらない。


早速飯です。早速Noodle etc,.です。これは飽きないです。 それが唯一の救い:

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ちなみに、私のお気に入りのLay's chips classicが値上がりしていた。 写真に写っている量で$1.00USDです。

日本とのミーティングをこなし、早めに就寝。


18日Sun.

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また一つ歳をとってしまった。

明日シカゴ出発。

  • 日曜日研究室に行くと言いながら、結局行けなくてさよならが言えませんでした…。元気で帰って来てください。 -- SMZ 2009-10-19 (月) 14:35:12
  • 帰ってきたら,「祭」開催ですよ. -- INUE 2009-10-19 (月) 15:32:37
  • >>SMZ、気にしない気にしない。元気でやってきます。 -- 茅根 2009-10-21 (水) 09:47:36
  • >>INUE え?本当?詳細決まったら教えてください。 -- 茅根 2009-10-21 (水) 09:48:34

11日Sun.

久しぶりの更新。

  1. チリから帰ってきた。
  2. チリ出張の事後手続き。
  3. 新学術領域「背景放射で拓く 宇宙創成の物理」領域立ち上げシンポジウム
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    1. 講演者の方々、すばらしい講演ありがとうございました。
    2. スライドは此方から。パスワードはメールでお知らせしております。kdsのパスワードはダイアログに表示されますのでそちらをお使いください。
  4. 東北大学で引越し。
    1. 東北大学物理A棟は今耐震工事中けちけちしないで、立て替えてくれよ!?(不謹慎だが)死人が出ないと無理なのか?
    2. 12月頃に自分の部屋(一応東北大学にも席はある)も引越ししなければならない。
    3. 飛ぶ鳥跡を濁さず
    4. ダンボール三箱をKEKに送付。
    5. 仙台も高層ビルが目立つようになってきた。
  5. 次の出張の準備 ← 今ここ

全然関係ないこと:
チリに行っている間にいつの間にか政権が代わっていたのは仕方が無いことだが、 作るんだか作らないんだかでもめているダムの一つに「八ッ場ダム」というものがある。 別段気にしていなかったのだが、工事の様子の写真を見てはっとした:

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八ツ場ダム完成後に分断される2地域を結ぶため建設された高さ約100メートルの橋脚。満水時には半分以上が水に漬かる=群馬県長野原町(矢島康弘撮影)(写真:産経新聞)

これって草津の研究会(今年冬の総研大スクール・夏の学校)に行くときに、道路 OR 電車から見えていた、 場違いな高架ではないか。通るたびに不思議に思ったが、ようやく理解した:

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ダムが完成すればこの一帯は水に沈み、この高架が橋となり分断される地域を結ぶのだそうだ。

八ツ場ダム問題、推進派のデータはニセ情報紛れ込む

最後まで作る作らないは別として、一兆円あればITER(のほとんど)とかILCがつくれるよな、 とか考えてみたりした(LiteBIRDはもっと安いよ!)。